5_29第3回抗議集会が訴えるもの

この日は、あいにく小雨がぱらつく中、人の立ち止まりが少ない。雨を避けようと坊ちゃん広場に集った人も建物の軒下に避難する形で、なかなか集会の核が見えにくい。集会が始まる前の独特の緊張感が乏しく感じられた。マイクによる通行人への訴えもないのがそんな気分を一層昂じさせたのかもしれない。そんな中で午後1時を迎えた。主催者の代表から、ようやくマイクの音で「挨拶していただく方が揃わないので今しばらくお待ちください。雨中なのでPEACEえひめなどによるオープニング・イベントは中止します」とのアナウンス。

そんな不安な気分のなか、5分すぎたころに発言予定者もあつまり、集会開会宣言がなされる頃には、ようやく人の輪ができ、幟もいくつか出揃い、集会らしい雰囲気が伝わってきた。まずは、主催者を代表して小松正幸さんから挨拶があった。小松さんの発言のなかでは「安保法制を廃止するには、それを廃止する政府が必要だ。その意味では来るべき参議院選挙で32の一人区で野党統一候補ができたのは意義深い。野党が確実に多数派を占めなければならない」と力説された。

続いて、各野党挨拶のトップを切って登壇した民進党、渡部代表からは、「安倍さんは、選挙ではアベノミクス、経済を前面に出し、多数を取ると急遽、イデオロギーを前面に出し、憲法も踏みにじる行為に出るのは許しがたい。防災訓練で出会った元来保守系の人から、渡部さん頑張ってや」と激励を受けたことを紹介。「今度の参議院選挙では、右も左もない。安倍さんに引いてもらう闘いだ」と強調。確かに!と思わされた。正確には「保守もリベラルもない」ということだろう。

実際、今安倍内閣が進めている憲法を変えても「日本が他国と同じように、国際紛争に武力介入ができるようにすべきだ」と本当に考えているのは一部の極右と目されている人たちだけではないだろうか。だが、保守のなかのリベラル層が巨大与党の中ですべて右寄りに「右へ倣え」させられているところに今の日本の病理がある。保守勢力のそうした体質を変えるためにも、今は健全(=立憲主義を守る)野党がしっかり団結し、その輪を広げていく闘いが特に求められているのだろう。

続いて社民党の逢坂さんが挨拶。彼女は、「これまで戦場近くで自衛隊がその地域の人たちのためにやってきたのが、今度はそうした人たちを敵に回して武器を持って殺し合いに行くことができるようにした安倍政権は許せない。どこの親が、そんなことのために息子たちを育てただろうか」という怒りの発言が印象的だった。

3番目の共産党林さんは、野党協力ができたことが嬉しくてならないと感情を吐露。北海道5区衆院議員補欠選挙の教訓を引き合いに出し、自民党のある幹部は選挙結果に「ほっとした。そのすぐ後、ぞっとした」と発言したことを紹介。県内でできた共闘の力を背景に無党派層に訴えかけ投票率をあげることがカギと訴えた。


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4番目に新社会党の川崎さんが発言。「若い労働者が、結婚もできない、年金ももらえない未来が来るかもしれない。正当な賃金が払われるような世の中をつくるためにも、安倍内閣を倒さなければ」と戦争への反対を唱えることと、未来世代の生活を守る闘いが一体であることを強調した。

最後に永江孝子さんが、一市民として発言。放送局にいた時、戦時のことをあるお年寄りにインタビューしたことを引き合いに出しながら「今、戦争へのムードが作られつつあるが、後から振り返って、今発言しておかないと、あの時、発言しておけばよかった、と後悔しないように。ここで声をあげなければ、声が挙げられない時代になってしまわないよう、私も頑張りきる」との決意表明が印象に残った。

イラク戦争時、あのアメリカ国民の8割以上が戦争に賛同。個人のプライバシーを侵害する愛国法が成立。そして後先顧みない不正義の戦争へ・・・。戦前を顧みるまでもなく、「民主主義が定着している」はずのアメリカで近年起こった信じられないような全体主義的な世相の推移に1)、私たちは今一度目を見開く必要があるのではないか、と考えさせられた。

この後、愛媛の会幹事の武井さんから集会決議案が読み上げられ、参加者の拍手で承認された。その後、銀天街・大街道沿いのパレードが行われた。(文責 HP担当M.,T)